仕事と組織を見直す

任せた仕事を、本人が進められる仕事に整える。

任せたはずの仕事が、何度も上司への相談に戻ってくる。納期変更の架空例から、本人が確認する情報、関係部署の協力、決められる範囲をそろえる進め方を考えます。具体的な図を見た後で、判断の仕事を整える六つの要素を読めます。

読む前に、使い道を確かめる。

こんなときに使う
任せたはずの仕事が、何度も上司への相談に戻ってくる。
ここで分かること
納期変更の架空例から、本人が確認する情報、関係部署の協力、決められる範囲をそろえる進め方を考えます。
最初に確かめる一つ
最近、上司への相談に戻ってきた一件で、本人はどの情報や権限を持っていませんでしたか?

現在の仕事に合わせた解説

2026年3月19日公開の資料を読み直し、現在の仕事に使うための解説として編集しました。まず一件の架空例と図から読み、必要になったところで六つの要素を確認できます。

「任せたはず」なのに、また相談が戻ってくる。

営業担当者に納期の回答を任せたところ、顧客から「金曜の40箱を、木曜午前に届けられますか」と連絡が来ました。担当者は上司へ「どうしましょう」と相談し、上司が在庫と配送を調べて回答します。これは説明用の架空例です。担当者が考える前に、在庫を確認できるか、配送担当へ問い合わせられるか、どこまで自分で決められるかを確かめます。知識や経験の不足も含め、相談が戻った理由を、この一件から探します。

図で見る:誰が、何を確認するか

顧客に聞く人、在庫を確かめる人、配送の条件を確かめる人がいます。その情報を集め、営業担当者が「20箱を先に届ける案」と「40箱をまとめて届ける案」を比べます。顧客がいつ何箱を何に使うかも確認します。下の図は、確認した情報から回答へ進む分担の例です。事実を確かめる仕事は、関係部署にも残ります。

納期変更の架空例。営業が顧客の必要日・数量・使い道、在庫担当が確定在庫と他の受注、配送担当が日時と費用を確認する。営業は案を比較し、通常便で他の約束を守れる範囲なら顧客と調整して回答する。追加費用、他の受注への影響、未確認の情報があれば上司と関係部署の責任者に相談する。終了後、顧客の仕事と周囲の負担を確かめる。
当社がこの解説のために作成した架空例です。矢印は情報を集めて回答へ進む順序を表します。実際の権限・承認条件に合わせて分担を決めます。

上司・本人・関係部署が、先にそろえること。

上司は営業・在庫・配送の担当者と、問い合わせ先、回答に必要な時間、本人が決められる範囲をそろえます。この例では、通常の配送便を使い、他の受注への約束を守れる案なら、営業担当者が顧客と調整して回答する範囲を検討します。追加費用が必要、他の受注に影響する、必要な情報が確かめられない場合は、上司と関係部署の責任者に相談します。社内の承認条件に合わせ、慣れるまでは上司が案の確認を支えます。

六つの要素を、この一件で読む

ここまでの確認を整理した呼び名が、判断対象・判断条件・判断基準・判断分担・経験設計・振返り設計です。まずは表の「仕事で使う問い」から読んでください。六つを一度に覚える必要はありません。本人が止まったところに近い問いから、仕事の条件を見直します。これは当社が原資料の要素を具体化した実務提案で、六つがすべての仕事に必要十分だと確認したものではありません。

六つの要素と、仕事で使う問い
要素仕事で使う問いこの例でそろえること
判断対象何を決める?顧客へ回答する納品日と数量の組合せ。
判断条件何を確かめる?顧客の必要数・使い道、確定在庫、配送便、回答期限。
判断基準何に照らして選ぶ?顧客の作業に間に合うか。他の約束を守れるか。費用はどうか。
判断分担誰が、どこまで決める?確認は各部署。決めた範囲の回答は営業。例外は上司と責任者。
経験設計本人に何を任せ、何を支える?営業が情報を集め、案を比べ、顧客と調整する。上司は確認を支える。
振返り設計いつ、誰と結果を確かめる?終了後に営業・上司・関係部署で、顧客の作業と周囲の負担を確かめる。

一件試して、止まったところを見直す。

最初は、関係者が無理なく確認でき、失敗時の影響を扱える一件から始めます。終了後、営業担当者と上司・関係部署で、必要な情報は間に合ったか、任された範囲で案を選べたか、顧客の作業は進んだか、配送や他の顧客に負担を移していないかを確かめます。相談が減っただけでは、よくなったと判断しません。困った点があれば、確認先や任せる範囲を変えます。IHIの小規模に試して結果から修正する実践指針を、この進め方の参考にしています。

参考にした指針と、この提案の範囲。

英国HSEの公的指針は、役割・責任を理解できる情報、要求の矛盾への対応、本人が仕事の進め方に意見を持てることを扱います。IHIの指針は、医療の改善を小さく試し、予想と結果、意図しない影響から修正する進め方を扱います。いずれも本プログラムの効果や人材育成の唯一の原因を示すものではありません。この解説では、部署をまたぐ一件の情報・権限・支援をそろえる用途に引き寄せました。AIを使う場合も、確認・判断・承認の分担は、その仕事の条件に合わせて決めます。

自分の仕事で、確かめ直すこと。

  • 最近、上司への相談に戻ってきた一件で、本人はどの情報や権限を持っていませんでしたか?
  • 本人が必要な情報を得られるよう、関係部署の誰が、何を、いつまでに確認しますか?
  • 本人が決められる範囲と、上司・関係部署の責任者へ相談する条件を、同じ一件で説明できますか?
  • 仕事が終わった後、相手の仕事が進んだか、他の仕事に影響や負担が出たかを、誰と確かめますか?

最近の具体的な仕事を思い浮かべ、必要な問いから考えてみてください。

関連する考え方。

読んだことを、仕事の一件へ

この資料を、自分の仕事で試す。

最近の具体的な一件を選び、分かっていることと未確認のことを分けます。実践室で、次に確かめる一つを整理できます。

別タブで開きます。確認メモをPDFに保存できます。

次に読む資料

資料ごとの役割と、読む理由から選べます。

  1. 上司と本人の任せ方この資料を読む理由

    任せ方と振り返りを変え、判断経験をつくる

    本解説で関係部署を含む条件をそろえた後、本人に任せる経験と上司の関わり、終了後の振り返りを具体化したいときに。

    判断経験を仕事に組み込む当社の実務提案。振り返りに関する一次研究と改善の公開指針を参照して再編集した解説。

    解説と資料を見る
  2. 部署間の受け渡しこの資料を読む理由

    自分の仕事は終わった。相手の仕事は進んだか。

    本解説は判断する一件の情報と権限を整えます。資料や仕事を次の人へ渡す場面で、受け手が進められる完了条件を詳しく確かめるときに。

    実践報告・関連文献に基づく実務提案

    解説と資料を見る
  3. 判断経験の全体像この資料を読む理由

    判断力を、仕事の中で育てる。

    具体例を読んだ後、本人が確かめて選ぶ経験と、任せる大きさ・周囲の支援をつなぐモデルを確認したいときに。

    複数理論を統合した独自の実務モデル

    解説と資料を見る

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