任せ方と振り返りを変え、判断経験をつくる
担当者が同じ相談を繰り返し、上司がその都度答えている。こうした仕事を一つ選び、本人が判断する範囲、相談する条件、終了後に確かめることを組み直します。前例の有効範囲を見直すアンラーニングと、新しい進め方を仕事の中で身につけるリラーニングを、管理職と担当者の具体的なやり取りから考える解説です。
現在の仕事に合わせた解説
当社の「アンラーニング・リラーニング」の資料をもとに、管理職が任せ方と振り返りを見直すための解説として編集しました。元資料の「人を責めるのではなく、判断が育つ仕事へ変える」という主題を引き継ぎ、研究の範囲と当社が提案する進め方を示しています。
同じ相談が続く仕事を、一つ取り上げる
例えば、少し条件が変わるたびに担当者が上司へ相談し、上司がその場で対応を決めている仕事です。最近の一件について、何を依頼され、どこまで確認し、どの時点で止まったのかを、メールや実際のやり取りに戻って確かめます。本人の考え方だけでなく、必要な情報にアクセスできるか、判断する権限があるか、何を優先するかが共有されているかも見ます。これらを管理職と担当者が一緒に見直せる仕事から始めることを提案します。
前例が役立つ条件を、今の仕事に照らす
これまでの進め方がうまく働いた理由を確かめ、その条件が今回にも当てはまるかを見ます。相手の決裁者、納期、社内の体制などが変われば、同じ手順でも追加の確認が必要になることがあります。本解説でいうアンラーニングは、こうした条件の変化に照らして、慣れた判断の仕方を見直すことです。そのうえで、事実を確かめ、選択肢を比べ、理由を持って選び、結果から修正する進め方を実務に組み込むことを、リラーニングとして扱います。
任せる前に、何を決める仕事かをそろえる
対象の仕事について、何を判断するのか、どんな条件で判断が必要になるのか、何を優先するのかを共有します。続けて、本人が決める範囲と相談が必要な条件、最初に任せる案件、終了後に確認する結果を決めます。これは元資料の六つの設計観点を仕事に当てはめるための提案です。条件の数だけで難易度を決めず、本人の経験、失敗した場合の影響、使える情報と支援も見て調整します。まず、必要な確認を実行でき、途中で相談できる範囲を一緒に選びます。
架空の例:納期の相談を、比較して決める経験へ
担当者が「前回と同じ納期で返答してよいですか」と相談に来た場面を考えます。上司は、顧客が必要とする日と理由、現在の在庫、配送の見込みを一緒に確かめ、担当者に「どんな案があり、どれを勧めるか」を聞きます。担当者は、全数を一度に届ける案と、必要な分を先に届ける案を、顧客の使い方と費用に照らして比べます。上司の承認が必要な追加費用は相談し、合意した範囲で返答します。情報が不足していれば、上司は確認先や必要な知識を補います。AIを案の整理に使った場合も、確認済みの事実とAIの想定を分けて扱います。
うまくいった仕事も、判断理由まで振り返る
終了後は、実際に相手の仕事がどう進んだかと、そのとき確認した事実・選んだ理由を照らし合わせます。納期の例なら、先に届けた分が必要な作業に間に合ったか、顧客や配送側に別の負担が生じなかったかを確かめます。そのうえで「次も使える条件」「次は変えること」「まだ確かめること」を残します。成功したことだけで判断の仕方が正しかったと決めず、案件の難しさや周囲の支援も振り返ります。相談が減ったかだけでなく、本人が何を確かめ、どこまで選べたかを、次の任せ方に反映します。
研究を手がかりに、小さく試して見直す
EllisとDavidiの研究では、軍の航法訓練で、失敗と成功の両方を振り返った群は、失敗だけを振り返った群より成績の伸びが大きくなりました。ただし、集団単位の準実験で、振り返りをしない群との比較はなく、正誤を確かめやすい訓練が対象です。一般の職場や本解説の手順全体の効果を直接示すものではありません。また、IHIの改善指針は、小さく変更を試し、予想と実際を比べて次の試行へつなぐ方法を示しています。こうした研究と指針を手がかりに、当社は、一つの仕事で任せ方・相談・振り返りを組み合わせ、結果を見て調整することを提案します。期間や会話の回数を達成することより、必要な確認と見直しができたかを確かめます。
自分の仕事で、確かめ直すこと。
- 同じ相談が繰り返されている仕事では、情報・権限・判断基準に、不足や不明確な点はありますか?
- 従来の進め方が役立っていた条件と、今の仕事の条件は、どこが違いますか?
- 本人が決める範囲、相談が必要になる条件、利用できる情報を具体的に共有できていますか?
- 終了後、確認した事実と判断理由を、相手の反応や仕事の結果に照らして振り返れますか?
- 次の案件で維持すること・変えること・まだ確かめることは何ですか?
最近の具体的な仕事を思い浮かべ、必要な問いから考えてみてください。
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前例を使う前に、今回の条件を確かめる
前例が今回にも使えるかを確かめる解説。No.196では、その確認を踏まえて管理職が任せ方と振り返りを組み直すところへ進みます。
一次研究と公的指針を参照した仕事設計の実務解説(固定した仕事分類・分業の検証ではない)
解説と資料を見る学びを確かめる観点この資料を読む理由
人は、仕事のどこで育っているのか。
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職場学習・AI研究を参照した実務解説
解説と資料を見る担当者の具体例この資料を読む理由
何を確かめればよいかを、自分で見つける。
担当者が条件の違いから確認先を選ぶ場面を扱います。No.196の仕事設計と合わせて、本人が選べたことと必要な支援を考えられます。
学習支援と生成AI利用の文献を参考にした実務提案
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