AIを仕事に活かす

AIで生まれた時間を、答えの出ない問いに使えるか。

AIと仕事を進め、改善もできた。それでも「この先は何なのか」が残るとき。顧客の迷い・上司の期待・働く本人の問いを一つの架空例でたどり、まだ成果を説明できない対話や試行への時間の使い方を考えます。

読む前に、使い道を確かめる。

こんなときに使う
AIで仕事が速く進み、改善もできた後に、「この先は何なのか」が残るとき。
ここで分かること
顧客の迷い・上司の期待・本人の問いをたどり、成果がまだ分からない対話や試行への時間配分を考える視点。
最初に確かめる一つ
説明しきれなかった仕事を一件選び、成果物・相手の言葉・自分が引っかかった箇所を持ち寄ります。

説明のための架空例|新サービスの案内

「分かりやすい」のに、自分に必要かは決められなかった。

AIを使い、新しいサービスの案内と申込フォームを整えたチーム。顧客から「分かりやすい」と言われたのに、申し込みは進みません。担当者は説明を足そうとしますが、使う場面を見せてもらうと、顧客が迷っているのは「今のやり方を変えてまで、自分の仕事に必要なのか」でした。

説明を理解できることと、自分に必要かを判断できることは、同じではありません。チームが終えた仕事と、顧客が進めたい仕事を、分けて見直す必要が出てきます。

案内の内容は分かっても、自分の仕事の進め方を変えるかは決められない顧客と担当者。説明のための架空例。
公開資料2ページ。人物の発言・仕事場面は架空例で、人物イラストはAI生成です。架空例をPDFで読む

改善を進めるうちに、改善する対象も変わる。

申込欄を減らし、説明を短くする。その改善には「申し込む方向へ進める」という前提がありました。顧客の迷いを聞いた担当者は、申し込みの前に小さく試せる場を提案します。使う理由も、使わない理由も、顧客自身が確かめるためです。

一方、上司は「自分で考えて」と任せながら、もっと説得力のある案内を期待していました。顧客の判断をどう支えるかに加え、何をもって部下が考えたと認めるかも、問い直されます。

新しい案は、顧客の判断に役立つか、実際に運用できるかを試して選びます。意外な案であること自体は、価値の証明にはなりません。

うまくいった。それでも「だから何なのか」が残る。

試せる場によって顧客が判断しやすくなり、担当者も手応えを得たとします。それでも本人には「もっと速く、もっと多く続けて、その先は何なのだろう」という問いが残りました。今回の仕事が役に立ったことと、その先が見えないことは、同時にあります。

すぐに次の目標を決めると、本人が立ち止まった理由を聞かないまま、仕事を再開できてしまいます。壮大な生きがいの話に整えれば納得できるとも限りません。次の案や目標で確かめられる問いなのかも、まだ分からないまま話す時間が必要な場合があります。

改善後にも残る問いを読む(4ページ)

成果が分かる前の時間を、組織はどう扱うか。

AIで減らせた作業時間は、次の仕事、休息、これまで手が回らなかった仕事にも使えます。その中に、何を問うべきかも定まっていない対話や、小さな試行を置く余地はあるでしょうか。

話すうちに仕事の前提を見直す手がかりが得られることも、話し続けても見つからないこともあります。非効率な時間が、そのまま価値になるわけではありません。難しいのは、価値があると説明できる前に、時間を使うか判断する必要があることです。

この資料は、対話の時間を一律に増やす提案ではありません。すぐ成果を示せる仕事だけで時間を埋めると、何が話されなくなるのか。実際の仕事を持ち寄って確かめます。

説明しきれなかった仕事を、一件持ち寄る。

「完成したのに相手が進めなかった」「うまくいったのに、何かが残った」。近い一件の成果物、相手の言葉、自分が引っかかった箇所を持ち寄ります。振り返り資料を整えすぎる前に、同じものを見ながら話します。

  1. 終えたつもりの仕事と、相手の仕事を並べる。

    何を完成させたのか。相手は何を判断し、進めようとしていたのか。分からないところは、分からないまま残します。

  2. 見方が変わったところと、残ったことを話す。

    新しく見えた迷い、最初の見立てとの違い、まだ言葉にならない引っかかりを、一緒に確かめます。

  3. 続け方と、いったん区切るところを相談する。

    もう少し確かめるなら、何を誰と見るか。次に使える時間と、他の仕事への影響も含めて考えます。

続ける、確かめ方を変える、いったん置く。次の行動にできない問いまで、無理に行動へ変える必要はありません。いったん置く場合も、残った問いを短く残せば、別の経験に出会ったときに戻れます。

PDFの7ページは、近い例に印をつけるだけでも使えます。書けない箇所は空けたまま話せる、評価のためではない記入欄です。

持ち寄るものを見る(6ページ)  対話に使う記入欄を見る(7ページ)

AIには、言葉や異なる見方の整理、試せる案の作成を手伝ってもらえます。もっともらしい要約を読んで、問いが解けたことにしていないかは、その都度確かめます。

研究を、問いを考える手がかりとして読む。

DorstとCross(2001)は、デザイン課題に取り組む過程を分析し、問題の捉え方と解決案が関わり合いながら変化する過程を論じています。この資料では、作り方を考える中で、何を問題とするかも変わるという接点から参照しています。

Dorst & Cross(2001)Creativity in the design process: co-evolution of problem–solution

March(1991)は、既存の知識を活用することと、新しい可能性を探索することへの資源配分を、組織学習のモデルで検討しています。結果を見通せる活動と、不確かな活動に、時間をどう配分するかを考える手がかりです。

March(1991)Exploration and Exploitation in Organizational Learning

いずれも、生成AIで生まれた時間の使い方や、この対話の手順そのものの効果を実証した研究ではありません。本資料は、一つの架空例と関連研究を手がかりに、職場で検討する問いを提案するものです。

自分の仕事で、確かめ直すこと。

  • 何を終えたつもりでしたか。相手は何を進めようとしていましたか?
  • 話してみて、見方が変わったところと、変わらず残ったことは何ですか。まだ言葉にならないものはありますか?
  • もう少し確かめるなら、何を誰と見ますか。次に使える時間や他の仕事への影響を含め、どこで一度区切りますか?

最近の具体的な仕事を思い浮かべ、必要な問いから考えてみてください。

図解で見る。

AIで生まれた時間を、答えの出ない問いに使えるか。の公開図解
図解を大きく見る出典:リクエスト株式会社の公開リリース

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次に読む資料

資料ごとの役割と、読む理由から選べます。

  1. 目的と方法を考えるこの資料を読む理由

    AIと共に働く力を何に向けるのか

    誰の何をより善くしたいかを、AIと共に捉える進め方へ戻ります。

    当社とAIによる資料制作の対話という単一事例を手がかりにした実践提案です。顧客対応の引き継ぎは架空例で、この進め方全体の効果を実証したものではありません。

    解説と資料を見る
  2. 人とAIの役割を考えるこの資料を読む理由

    生成AIが仕事のパートナーになったとき、人間は何をするのか。

    AIの案から目的も確かめ直し、現場・相手・元資料で確認する仕事を考えます。

    7論文を参照した探索的な実務解説・当社の実践提案。五つの確認と五行メモの手順の効果は未検証。事例は架空。

    解説と資料を見る
  3. 対話で理解を確かめるこの資料を読む理由

    「対話した」とは、何をしたことなのか。

    話したことと相手の理解を分け、対話で何をしたのかを振り返ります。

    既存の実践・関連研究に基づく実践ガイド

    解説と資料を見る
  4. 問いの前提を見直すこの資料を読む理由

    その問いは何を前提にしているのか。

    問いの中にすでに含まれている前提と、確かめる事実を考えます。

    研究文献20件を参照した実務解説・実践提案(職場例は架空)

    解説と資料を見る

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